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帳簿に残らなかった三年間

弁護人
1 / 10事件

事件

発端:消えた三年間

事務所

年に一度の定期監査。担当者は「諸経費」の欄に並ぶ、金額の大きな出金の連続に目を止めた。摘要はどれも「取引先対応」「諸謝礼」とだけ書かれ、領収書が添付されているものは半分もない。

過去三年分をさかのぼって集計すると、総額は620万円にのぼった。担当者は青ざめた。この帳簿を一人で管理していたのは、経理主任の佐伯洋子だった。

その佐伯は、二週間前から体調不良を理由に長期休暇に入っている。誰もいない経理デスクの上に、使い込まれた手書きのメモ帳が一冊、置き忘れられていた。

帳簿に残らなかった三年間 | トラブル法廷